誘導されるように閉鎖病棟に隔離された
診察が終わったあと、閉鎖病棟の方へ行くことになった。
家族はついて来なかった。
持ってきてほしいもの、仕事のこと、留守中のことなど話したいことがいろいろあったのに、気付いたら閉鎖病棟まで来ていた。
なんとなく騙されたというか、してやられたという感じだ。
精神科病院内の長い長い廊下を進んでいくと、ライトアップされたきれいな中庭が見えた。
診察室がある外来がとても古めかしかったのと比べると雲泥の差だ。
まるで別世界へワープしていくかのよう。
この時実は3~4人ぐらいの体格のいい男性のナースが同伴していた。
他愛のない話をしていたので何も気づかなかったが、あとから思えば逃げ出したりしないよう監視していたのだろう。
先にも書いたように、
まさに気づいたら閉鎖病棟の目の前にいたのである。
精神科病院について語るとき、「隔離病棟」という言葉が使われるが、ナースの巧みな術によって、「隔離される」という絶望感を感じることはなかった。
そして男性看護師が暗証番号を押して、閉鎖病棟の扉(自動ドア)を開ける。
精神科病院 閉鎖病棟の実態
というわけで閉鎖病棟に入ったわけだけど、名前から感じるほど特別な感じはしない。
全体的に生活感があふれていて、一般の病棟のようだ。精神科病院とか閉鎖という言葉から感じる暗い感じは全くない。
まずは応接室のようなところで、起床、睡眠時間や食事の時間、お風呂、洗濯など、閉鎖病棟内での生活の一般的な説明を受ける。
携帯やタバコ、ライターなど、ポケットの中に入っていたものは全て出すように言われた。
なんだか没収された気分。
そしていよいよ病室という名の隔離部屋へ入れられることになる。